VDT作業で目を守る!疲れ目対策と健康管理のポイント

VDT作業で目を守る!疲れ目対策と健康管理のポイント

現代社会でパソコンやスマホはもはや必需品。しかし、長時間画面を見続けるVDT作業は、実はあなたの目を蝕んでいるかもしれません。

ドライアイ、眼精疲労、視力低下、疲れ目…心当たりはありませんか? 知らないうちに忍び寄る目のトラブルは、日常生活の質を低下させるだけでなく、深刻な目の疾患に繋がることも。 

この記事では、VDT作業で起こる目のトラブル4選を、原因やメカニズムと共に詳しく解説。さらに、眼精疲労や疲れ目を軽減するための具体的な対策も5つご紹介します。目の健康を守り、快適なデジタルライフを送るためのヒントが満載です。

VDT作業で起こる目のトラブルと原因4選

現代社会において、パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見続けるVDT作業は、私たちの生活に欠かせないものとなっています。しかし、それと同時に、VDT作業は目にとって大きな負担となり、様々なトラブルを引き起こす可能性があることを忘れてはいけません。

長時間画面を見続けることで、私たちの目は一体どのような影響を受けているのでしょうか。ここでは、VDT作業によって引き起こされる代表的な目のトラブル「ドライアイ」「眼精疲労」「視力低下」「疲れ目」について、その原因やメカニズムを詳しく解説していきます。

ドライアイ:涙の減少による目の乾燥

ドライアイは、文字通り目が乾燥した状態ですが、単に乾燥しているだけではありません。涙の分泌量が減少したり、涙の質が変化することで、目の表面が適切に潤されなくなることで様々な不快な症状が現れます。

VDT作業中は、画面に集中するあまり、まばたきの回数が著しく減少します。通常、私たちは1分間に約20回まばたきをしていますが、VDT作業中は5~10回程度です。まばたきは、涙を目の表面に均一に広げ、目を保護する重要な役割を果たしています。まばたきの回数が減ることで、涙が目の表面に行き渡らなくなり、乾燥しやすくなるので注意が必要です。

さらに、エアコンの風やパソコンから出る熱風も、目の乾燥を加速させます。コンタクトレンズを使用している方は、レンズが涙を吸収してしまうため、ドライアイのリスクがさらに高まります。涙が不足すると、目にゴミやほこりが入りやすくなり、感染症のリスクも高まります。また、目の表面が傷つきやすくなり、視界がぼやけることもあります。

眼精疲労:目の奥の痛みや重だるさ

眼精疲労は、目の使いすぎによって起こる、目の奥の痛みや重だるさ、かすみ、頭痛、肩こりなどの様々な症状を伴う状態です。VDT作業では、長時間画面を凝視するため、目のピントを調節する筋肉である毛様体筋が常に緊張を強いられます。

毛様体筋は、近くのものを見るときに収縮し、遠くのものを見るときに弛緩することで、水晶体の厚さを変化させ、ピントを調節しています。VDT作業のように、長時間近くのものを見続けると、毛様体筋は収縮した状態が続き、疲労が蓄積されます。これが眼精疲労の主な原因です。

近視の方は、もともと毛様体筋が緊張しやすい状態にあるため、眼精疲労になりやすい傾向があります。また、近視の度数が強い方ほど、毛様体筋への負担が大きくなり、眼精疲労の症状も重くなる傾向があります。眼精疲労を放置すると、慢性的な頭痛や肩こり、自律神経の乱れにつながる可能性もあるため、適切な対策が必要です。

視力低下:一時的な視力低下や近視の進行

VDT作業は、視力にも悪影響を及ぼす可能性があります。VDT作業中は、近くのものにピントを合わせ続けるため、毛様体筋が緊張し続け、一時的な視力低下が起こることがあります。これは、毛様体筋の疲労によってピント調節機能が一時的に低下するためです。

近視は、眼軸が長くなることで、網膜に像が正確に結像されなくなることで起こります。すでに近視の方でも、VDT作業によって近視の度数が進行する可能性があります。

また、調節痙攣という状態も起こりえます。これは、毛様体筋の過緊張によってピント調節機能がうまく働かなくなり、一時的に近視のような状態になることです。適切な矯正眼鏡を使用していない場合や、過度に強い度数の眼鏡を使用している場合も、近視の進行を助長する可能性があります。

疲れ目:目の疲れ、かすみ、充血

疲れ目は、VDT作業によって引き起こされる目の症状の総称であり、目の疲れ、かすみ、充血、異物感、乾燥感、痛みなど、様々な症状が現れます。VDT作業中は、まばたきの回数が減少し、涙の分泌が少なくなるため、目が乾燥しやすくなります。また、毛様体筋の緊張も疲れ目の大きな原因となります。

画面の明るさやコントラスト、周囲の照明環境、画面との距離など、VDT作業には、目にとって負担となる要素が多く存在します。これらの要素が重なることで、疲れ目の症状が悪化します。疲れ目を放置すると、眼精疲労やドライアイ、視力低下につながる可能性があるため、早期に対処することが重要です。

VDT作業による目のトラブルは、現代人にとって深刻な問題です。これらのトラブルは、日常生活の質を低下させるだけでなく、放置するとより深刻な目の疾患につながる可能性もあります。次のセクションでは、VDT作業時の疲れ目を軽減するための具体的な対策について解説します。

VDT作業時の疲れ目を軽減するための対策5選

VDT作業による目のトラブルは、現代人にとって避けて通れない問題です。眼精疲労やドライアイ、視力低下、疲れ目といった症状は、日常生活の質を低下させるだけでなく、放置するとより深刻な目の疾患につながる可能性も懸念されます。

Blehmら(2005)の研究によれば、コンピュータ視覚症候群(CVS)は、眼精疲労、眼の疲れ、炎症、充血、ぼやけた視界、複視など、コンピュータ使用に関連する様々な眼症状を指します。そして、これらの症状は眼表面の異常や調節痙攣といった眼自体の問題と、人間工学的な要因といった眼の外側の問題の両方が原因となる可能性が示唆されています。

そこで、このセクションではVDT作業時の疲れ目を軽減するための具体的な対策を5つご紹介し、目の健康を守り、快適なVDT作業を実現するためのヒントを提供します。

  • ブルーライトカットメガネ
  • パソコンの設定調整
  • 作業環境の改善
  • 目の休憩
  • 目薬

ブルーライトカットメガネ:ブルーライトを軽減

パソコンやスマートフォンの画面から発せられるブルーライトは、波長が短くエネルギーが強い光です。このブルーライトは、角膜や水晶体で吸収されずに網膜まで到達し、網膜への負担を増大させる可能性があると言われています。また、ブルーライトは体内時計を調節するメラトニンというホルモンの分泌を抑制し、睡眠の質を低下させる可能性も指摘されています。

ブルーライトカットメガネは、このブルーライトをカットまたは吸収することで、目への負担を軽減する効果が期待できます。ブルーライトカットメガネを選ぶ際には、カット率だけでなく、レンズの色やフレームの形状なども考慮し、ご自身の生活スタイルに合ったものを選ぶことが大切です。カット率が高いほどブルーライトをカットする効果は高まりますが、レンズの色が濃くなる傾向があります。

パソコンの設定調整:画面の明るさ、コントラスト調整

パソコンの設定を調整することも、目の負担を軽減する上で重要なポイントです。画面の明るさは、周囲の明るさに合わせて調整しましょう。周囲が明るい場合は画面の明るさを上げ、周囲が暗い場合は画面の明るさを下げることで、目への負担を軽減できます。

また、コントラスト比を調整することで、文字や画像を見やすくすることも可能です。コントラスト比とは、最も明るい部分と最も暗い部分の明るさの比率のことです。コントラスト比を高く設定すると、文字や画像がはっきり見えますが、同時に目への負担も大きくなる可能性があります。

ご自身の目に最適な明るさとコントラスト比を見つけ、快適な作業環境を構築しましょう。理想的なディスプレイの明るさは300ルクス以上とされており、ディスプレイと書類の明るさの差を小さくすることも推奨されています。

作業環境の改善:適切な照明、モニターの位置

作業環境の改善も、目の疲れを軽減するために効果的です。適切な照明は、目への負担を軽減する上で重要な役割を果たします。明るすぎる照明や暗すぎる照明は、目を疲れさせやすく、作業効率の低下にも繋がります。まぶしさを感じない程度の明るさが適切であり、多すぎる影も目の負担を増大させるため、適切な照明配置を心がけましょう。

モニターの位置も重要です。モニターは目線よりもやや下に配置し、画面との距離は40cm以上を確保することで、目への負担を軽減できます。ディスプレイの上端を目の高さとほぼ同じか、少し下に配置することで、自然な姿勢で作業できます。適切な姿勢を保つことで、肩こりや腰痛などの身体的な負担も軽減できるでしょう。

目の休憩:定期的な休憩と目の体操

VDT作業中は、定期的に休憩を取り、目の体操を行うことが目の健康維持に不可欠です。1時間作業したら10分程度の休憩を取り、遠くの景色を見たり、目を閉じたりして、目の筋肉をリラックスさせましょう。遠くの景色を見ることで、近くのものにピントを合わせ続けることで緊張した毛様体筋をリラックスさせる効果があります。

また、目の体操は、目の周りの血行を促進し、目の疲れを軽減する効果が期待できます。簡単な目の体操としては、目を上下左右に動かしたり、ぐるりと回したりする運動、ギュッと閉じたり、大きく見開いたりする運動などがあります。

これらの体操を数回繰り返すことで、目の筋肉をほぐし、目の疲れを軽減することができます。6m以上離れたところを見る、背伸びをするなどの体操も効果的です。

目薬:ドライアイ対策の点眼薬

ドライアイは、VDT作業によって引き起こされる代表的な目のトラブルの一つです。ドライアイは、涙の量が減少したり、涙の質が悪くなったりすることで、目が乾燥し、疲れやかすみ、充血などの症状が現れます。

ドライアイ対策として、点眼薬を使用することは効果的です。点眼薬には、人工涙液やヒアルロン酸ナトリウムなどの成分が含まれており、目の表面を潤し、乾燥を防ぎます。市販の点眼薬を使用する場合は、防腐剤の有無なども確認し、ご自身の症状に合ったものを選ぶことが大切です。

ドライアイの症状が重い場合や、市販の点眼薬で改善が見られない場合は、眼科を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。

目の健康を保つための生活習慣3選

目の健康は、毎日の生活習慣を少し見直すことで守ることができます。目の疲れを軽減し、目の健康を維持するために、食生活、睡眠、ストレス管理という3つの側面から具体的な方法をご紹介します。

ここで紹介する3つの生活習慣を参考に、目の健康を積極的に守っていきましょう。

食生活の改善:ビタミンA、ルテイン摂取

目の健康を保つためには、バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。私たちの体は、食べたものから作られます。それは目にも同じことが言えます。特に、ビタミンAやルテインは、目の健康に欠かせない栄養素です。

ビタミンAは、目の粘膜を保護し、ドライアイの予防に役立ちます。目の表面は粘膜で覆われており、常に涙で潤されることで乾燥や外部刺激から守られています。ビタミンAは、この粘膜の健康を維持するために必要な栄養素です。ビタミンAが不足すると、目の粘膜が乾燥しやすくなり、ドライアイや感染症のリスクが高まります。レバー、うなぎ、卵黄、牛乳、にんじんなどに多く含まれていますので、意識的に摂取するようにしましょう。

ルテインは、目の水晶体や黄斑部に存在する色素成分で、有害なブルーライトから目を守る働きがあります。ブルーライトは、太陽光やパソコン、スマートフォンの画面から発せられる光で、エネルギーが強く、網膜にダメージを与える可能性が指摘されています。ルテインは、ブルーライトを吸収し、目を保護する働きがあります。ほうれん草、ブロッコリー、ケールなどの緑黄色野菜に多く含まれています。

これらの栄養素は、加齢とともに減少する傾向があります。特に、40歳を超えるとルテインの量は急激に減少し、白内障や加齢黄斑変性などの目の病気のリスクが高まると言われています。バランスの良い食生活を心がけ、これらの栄養素を積極的に摂ることで、目の健康をサポートしましょう。単一の食品に偏ることなく、様々な食品を組み合わせてバランス良く摂取することが重要です。

睡眠時間の確保:質の高い睡眠

睡眠不足は、目の疲れを悪化させる大きな原因の一つです。現代社会は、常に情報が溢れ、寝る間も惜しんで活動している人も少なくないでしょう。しかし、睡眠は、単に体を休めるためだけのものではありません。目の健康にとっても、質の高い睡眠を十分にとることは非常に重要です。

睡眠中は、涙の分泌が促進され、目の乾燥が改善されます。日中、パソコンやスマートフォンの画面を見続けることで、まばたきの回数が減少し、涙の分泌が低下し、ドライアイを引き起こしやすくなります。睡眠中は、涙の分泌が活発になり、日中の乾燥を修復する効果があります。

また、成長ホルモンが分泌されることで、目の細胞の修復や再生が促されます。成長ホルモンは、細胞の修復や再生を促すホルモンで、睡眠中に多く分泌されます。目の細胞も、睡眠中に成長ホルモンの働きによって修復され、健康な状態を保つことができます。

質の高い睡眠をとるためには、以下の点に注意しましょう。

  • 規則正しい睡眠時間:毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計が整い、質の高い睡眠につながります。
  • 睡眠環境の整備:寝室を暗く静かに保ち、快適な温度に設定することで、より深くリラックスした睡眠をとることができます。
  • 寝る前のリラックスタイム:カフェインの摂取を控え、ぬるめのお風呂に入ったり、リラックスできる音楽を聴いたりして、心身をリラックスさせ、スムーズな入眠を促しましょう。

ストレス軽減:適度な運動、リフレッシュ

ストレスは、自律神経のバランスを崩し、ドライアイや眼精疲労などの目のトラブルを悪化させる可能性があります。現代社会はストレス社会とも言われ、多くの人が様々なストレスを抱えています。ストレスは、心身に様々な悪影響を及ぼしますが、目にも悪影響を与える可能性があることをご存知でしょうか。

ストレスを感じると、交感神経が優位になり、血管が収縮し、血行が悪くなります。目の周りの血流が悪くなると、目の筋肉が緊張し、眼精疲労やドライアイの症状が悪化しやすくなります。また、ストレスは、涙の分泌を減少させる可能性も指摘されています。

適度な運動やリフレッシュによってストレスを軽減し、心身のリラックスを心がけましょう。軽い運動は、血行を促進し、目の周りの筋肉の緊張を和らげる効果があります。ウォーキングやヨガなど、無理なく続けられる運動を見つけ、習慣化してみましょう。

また、趣味や好きなことに没頭する時間を持つことも大切です。好きな音楽を聴いたり、読書をしたり、自然の中で過ごしたり、没頭できる時間を持つことは、心身をリフレッシュし、ストレスを軽減する効果があります。

目の疲れを感じた時は、遠くの景色を眺めたり、目を温めたりするのも効果的です。遠くの緑を見ると、目の筋肉の緊張が和らぎ、リラックス効果が得られます。また、蒸しタオルなどで目を温めることで、血行が促進され、目の疲れが軽減されます。

まとめ

目の健康管理、特にVDT作業における目のトラブルと対策について解説しました。VDT作業はドライアイ、眼精疲労、視力低下、疲れ目など、様々な目のトラブルを引き起こす可能性があります。画面の明るさやブルーライト、長時間の凝視による目の筋肉の緊張、まばたき回数の減少など、VDT作業には目にとって負担となる要素が多く存在します。

しかし、これらのトラブルは、適切な対策を行うことで軽減できます。ブルーライトカットメガネの使用、パソコンの設定調整、作業環境の改善、定期的な休憩と目の体操、ドライアイ対策の点眼薬など、様々な方法があります。自分に合った方法を選び、目の健康を守りましょう。

さらに、食生活の改善、十分な睡眠、ストレス軽減など、日常生活における心がけも目の健康維持に繋がります。ビタミンAやルテインの摂取、質の高い睡眠の確保、適度な運動やリフレッシュなど、日々の生活習慣を少し見直すことで、目の健康を守っていきましょう。

産業医/健康経営エキスパートアドバイザー 松田悠司

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