高年齢労働者の安全対策|2026年の新指針と職場で見直す5つのポイント

「ベテラン社員に長く活躍してほしいけれど、転倒や作業中の負担が心配」「高年齢者の労災防止が努力義務になったと聞いたが、何を見直せばよいのか」。人事・安全衛生担当者の方には、このような悩みがあるのではないでしょうか。2026年4月1日から、高年齢者の特性に配慮した労働災害防止の措置が事業者の努力義務となり、具体策を示す新しい指針も適用されています。 [S1] [S3]

対策の出発点は、職場の危険な場所や負担の大きい作業を把握し、そこで働く方の健康や体力に合わせて改善することです。この記事では、新指針を踏まえ、中小企業でも検討しやすい5つのポイントと、産業医等との連携の仕方を解説します。 [S2]

2026年の新指針で押さえておきたいこと

「高年齢者の労働災害防止のための指針」は、事業者が講ずるよう努めるべき措置の具体的な進め方を示すものです。職場での高年齢者の就労状況や業務内容などの実情に応じて、実施可能な対策に取り組む考え方が示されています。指針に並ぶ対策例を、一律に同じ方法で実施するという読み方は避けましょう。 [S2] [S3]

以前の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」は、新指針の適用に伴い廃止されています。社内資料を見直す際は、古いガイドラインだけを参照していないか確認し、現在の指針と照らし合わせることをおすすめします。 [S4]

1.担当者を決め、現場の困りごとを集める

まずは、対策を進める担当者や部署を明確にしましょう。安全衛生委員会等がない職場でも、従業員の意見を聴く機会を設け、労使で話し合うことが指針に示されています。 [S2]

例えば、職場を巡回する際に「つまずきそうになった場所」「作業していて負担を感じる動作」を本人に聞いてみてはいかがでしょうか。集めたヒヤリハットをもとに、危険性の高いものから優先順位を付けると、取り組むべき課題を整理しやすくなります。 [S2]

2.通路・段差・照明を見直し、転倒につながる環境を改善する

指針では、通路を含めた作業場所の明るさの確保、階段の手すり、可能な限りの段差解消などが挙げられています。床が濡れたり油で滑りやすくなったりする職場では、こまめな清掃も確認したいポイントです。 [S2]

例えば、現場で「足元が見えにくい」「ここで滑りそうになった」という声があれば、その場所の照明や床の状態を一緒に確認しましょう。指針では、手すりの設置や段差解消などの設備面の対策を、マニュアル整備などの管理面の対策より先に検討する順序が示されています。注意喚起に加え、環境自体を変えられないか検討する視点が大切です。 [S2]

3.重い物の扱い方や作業ペース、休憩を見直す

重い物を持ち上げる作業では、補助機器を使って人の力で扱う重量を減らすことや、作業台の高さ・物の配置を調整することが対策例として示されています。作業の流れを確認し、不自然な姿勢になっていないかも見直してみましょう。 [S2]

また、作業マニュアルには、ゆとりのある作業スピードや無理のない姿勢への配慮を反映します。身体的な負担の大きい作業では、定期的な休憩や作業休止時間も検討します。現場の作業手順と照らし合わせながら、どこで負担を減らせるかを考えることが重要です。 [S2]

4.本人の健康・体力に合わせ、産業医等と仕事を調整する

同じ年齢でも、健康状態や体力には違いがあります。年齢だけで一律に仕事を決めず、個々の状況と業務内容を見ながら調整しましょう。健康診断や体力チェック等の結果から労働時間や作業内容を見直す必要がある場合は、産業医等の意見を聴いて進めることが指針に示されています。 [S2]

業務の軽減などを行う際は、本人と十分に話し合い、了解が得られるよう努めます。また、健康情報の共有方法にも配慮が必要です。例えば、医師等の意見を安全衛生委員会等に報告する場合は、個人が特定されないよう集約・加工する扱いが示されています。支援のための情報を、どの場でどのように共有するかも確認しましょう。 [S2]

5.経験年数に頼らず、分かりやすい安全衛生教育を続ける

長年働いている方でも、再雇用や再就職によって経験のない仕事に就く場合には、丁寧な教育訓練が必要です。指針では、十分な時間をかけ、写真・図・映像なども活用して作業内容とリスクを理解しやすくすることが示されています。 [S2]

教育は高年齢者本人だけで完結させず、管理監督者や一緒に働く各年代の従業員にも広げることが望ましいとされています。例えば、作業説明の資料を写真付きに見直すとともに、周囲の社員にも配慮すべき点を伝えるなど、職場全体で取り組みましょう。 [S2]

よくある質問:産業医がいない小規模な職場はどうすればよいですか

指針では、産業医が選任されていない事業場について、地域産業保健センター等の外部機関の活用が有効とされています。健康管理や就業上の配慮について、利用できる相談先を確認してみましょう。 [S2]

よくある質問:対策は一度実施すれば十分ですか

指針では、年間推進計画に沿って取り組み、一定期間で評価して必要な改善を行うことが望ましいとされています。設備や作業手順を変えた後も、現場の意見やヒヤリハットを確認し、取り組みを見直していきましょう。 [S2]

まとめ:現場の声と産業保健の視点を、安全対策につなげましょう

高年齢労働者の安全対策では、担当者を決めて現場の課題を把握し、環境・作業方法・健康や体力に応じた配慮・教育を組み合わせて進めることが大切です。まずは職場の声を集め、優先順位の高い改善点を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。健康や体力と仕事の調整に迷う場合は、産業医等に相談しながら進めましょう。 [S2]

参考資料

一般的な情報提供を目的としています。個別の対応は産業医等の専門家にご相談ください。

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本記事は2026年9月30日時点で確認した公的資料に基づきます。制度の最新情報は参考資料のリンク先をご確認ください。

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産業医 / 労働衛生コンサルタント / 健康経営エキスパートアドバイザー 松田悠司

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