治療と仕事の両立支援、申出があったら何を書く?|勤務情報提供・主治医意見・両立支援プランの様式と書き方

「がんの治療をしながら働きたい」と社員から申出があった。相談窓口も決めてある。では、具体的に何を書いて、誰に渡せばよいのか——2026年4月に治療と仕事の両立支援が事業主の努力義務になってから、人事・総務担当者がまず迷いやすいのが、この「様式」です。 [S3]

厚生労働省は、治療と就業の両立支援指針の別添2として、会社・主治医・本人の間でやり取りする様式例を公開しています。この記事では、申出から支援プランの作成までの流れに沿って、3つの様式の役割と書き方を整理します。 [S1] [S2]

全体の流れと3つの様式

  1. 本人からの申出(相談窓口)
  2. 会社→主治医:「勤務情報を主治医に提供する際の様式例」(別添2-1)
  3. 主治医→会社:「治療の状況や就業継続の可否等について主治医の意見を求める際の様式例」(別添2-2)。休職後の復帰なら「職場復帰の可否等について主治医の意見を求める際の様式例」(別添2-3)
  4. 産業医の意見聴取(産業医がいる場合)
  5. 会社・本人:「両立支援プラン/職場復帰支援プラン」(別添2-5)の作成・見直し

いずれも本人の同意を得て、本人を介してやり取りするのが基本です。 [S2]

1.勤務情報提供(別添2-1):主治医が判断できる材料を渡す

主治医は会社の仕事を知りません。「事務職です」だけでは、治療との両立について意見を書けません。様式には、職種・職務内容(身体的負荷、化学物質の有無、交替勤務、運転の有無)、勤務形態、通勤方法と時間、休暇制度・勤務制度(時間単位年休、時差出勤、在宅勤務、短時間勤務)、利用できる配慮の例を記入します。 [S2]

書き方のコツ:業務を「できる・できない」で書かず、「1日のうち立ち作業が○時間」「月に○回の出張」のように量で書くと、主治医は制限の程度を具体的に示せます。

2.主治医の意見(別添2-2/2-3):聞きたいことを先に書く

主治医からの意見は、病名そのものではなく「就業継続の可否」「配慮が望ましい事項(時間外労働、交替勤務、重量物、通院のための時間など)」「見通し(次回の見直し時期)」が中心です。様式には会社側が特に聞きたい配慮事項を書く欄があるため、空欄にせず、1の勤務情報と対応させて質問を書いておきます。 [S2]

主治医の意見書の費用を本人と会社のどちらが負担するかは、法令の定めがないため、申出の前に社内で決めておくと揉めません。

3.両立支援プラン(別添2-5):期限と見直し日を必ず入れる

プランには、治療の予定(通院頻度、入院の見込み)、就業上の措置(時間外労働の制限、通院日の勤務調整、作業内容の変更)、職場での配慮(上司・同僚への説明範囲)、見直し時期、相談先を記載します。治療は状況が変わるため、「3か月後に見直す」のように期限を切ることが、プランを形骸化させない最も簡単な方法です。 [S2]

産業医がいる場合・いない場合

産業医がいる事業場では、主治医の意見と勤務情報をもとに産業医が就業上の措置について意見を述べ、会社はその意見を踏まえてプランを作ります。産業医のいない50人未満の事業場では、地域産業保健センターの相談や、スポットでの産業医意見の依頼が利用できます。 [S1]

産業医として、松田はこう考えます

主治医の意見書が病名と「就労可」の一言で終わってしまう背景には、会社から主治医へ仕事の内容が十分に伝わっていないことがあります。様式2-1で業務内容や勤務形態を具体的に伝えると、主治医が就業上の配慮について意見を書きやすくなります。当事務所では、契約先の人事担当者と一緒に様式2-1を書き、主治医への質問事項を整理するところから支援しています。

よくある質問:本人が主治医の意見書の取得を嫌がります

両立支援は本人の申出が起点であり、強制はできません。意見書なしでも、本人の自己申告と産業医面談にもとづいて暫定的な配慮を行い、見直し時期を設定する方法があります。

よくある質問:様式はそのまま使わないといけませんか

様式例であり、事業場の実情に合わせて項目を増減して構いません。ただし「見直し時期」と「相談先」の欄は残してください。 [S2]

まとめ

申出→勤務情報(2-1)→主治医意見(2-2/2-3)→産業医意見→プラン(2-5)の順で、各様式の役割を押さえれば迷いません。まず様式2-1を自社向けに1枚作っておくことをおすすめします。

参考資料

[S1] 治療と仕事の両立について|厚生労働省(資料取得日:2026-10-28)

[S2] 厚生労働省「治療と就業の両立支援指針」/様式例:別添2-1・別添2-2・別添2-3・別添2-4(両立支援カード)・別添2-5(資料取得日:2026-10-29)

[S3] 治療と仕事の両立支援|2026年4月からの努力義務と企業が準備したい4つのこと(当事務所コラム)(資料取得日:2026-10-28)

一般的な情報提供を目的としています。個別の対応は産業医等の専門家にご相談ください。様式の記入欄は厚生労働省掲載の最新版をご確認ください。

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本記事は2026-10-28時点で確認した公的資料に基づきます。

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産業医 / 労働衛生コンサルタント(保健衛生) / 健康経営専門医 松田悠司

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