職場の熱中症対策、義務化2年目の準備|4月から整える報告体制・手順書・教育(安衛則612条の2)

「昨年は義務化に合わせて急いで連絡網を作ったが、今年も同じ内容でよいのか」「手順書は作ったが、現場に伝わっているか自信がない」。職場の熱中症対策が事業者の義務になって2年目の夏を迎える前に、昨年の対応を見直しておきませんか。

この記事では、労働安全衛生規則第612条の2で求められていることを確認したうえで、夏の前、4〜5月のうちに整えておきたい準備を整理します。症状や予防の基本は「オフィスでも起きる熱中症リスク」で解説しています。

義務の内容をもう一度確認する

2025年6月1日から、熱中症を生ずるおそれのある作業を行う事業者は、あらかじめ次の体制と手順を整え、関係する作業者に周知することが義務になっています。 [S1] [S2]

  1. 熱中症の自覚症状がある作業者や、熱中症が疑われる同僚を見つけた作業者が、その旨を報告する体制
  2. 作業場ごとに、作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察・処置を受けさせるなど、重篤化を防ぐための措置の手順

対象となる作業の目安として、厚生労働省の通達は、WBGT(暑さ指数)が28度以上または気温が31度以上の場所で、継続して1時間以上、または1日あたり4時間を超えて行われることが見込まれる作業を示しています。「周知」は、報告先等が作業者に確実に伝わることが必要とされています。 [S2]

4〜5月にやること

1. 対象となる作業を洗い出し直す

昨年の夏の作業記録をもとに、対象となる作業と場所を一覧にします。新しく借りた倉庫、配置換えのあった部署、夏だけ増える外回りや屋外作業など、昨年の一覧から漏れているものがないかを確認します。

2. 報告体制を「名前と電話番号」で書く

報告先は「上司」ではなく、日付・時間帯ごとに誰に連絡するかを、氏名と電話番号で決めておきます。夜勤や休日の作業、一人作業がある職場は、その時間帯の連絡先を別に書きます。

3. 作業場ごとの手順書を見直す

手順書には、作業から離脱させる、涼しい場所へ移す、体を冷やす、水分・塩分を補給する、意識がはっきりしない・自力で水分をとれない場合はただちに救急隊を要請する、の流れを入れます。 [S3]近くの医療機関の名前と連絡先、搬送時に誰が付き添うかも書いておくと、当日の判断が早くなります。

4. 周知と教育を記録に残す

朝礼や衛生委員会で手順書を説明し、掲示場所を決め、実施日と参加者を記録します。新しく入った人、派遣・協力会社の作業者にも伝わる方法(入場時の説明、掲示)を決めておきます。

5. WBGTを測る準備

対象作業かどうかの判断にはWBGT(暑さ指数)を使います。測定器の置き場所と記録の方法、測った値を誰が見て作業の中止や休憩を判断するかを決めておきます。

産業医が関わる場面

  • 手順書と報告体制の内容の確認(衛生委員会での審議)
  • 持病のある人、服薬中の人、暑さに慣れていない人など、熱中症になりやすい人への配慮の検討
  • 熱中症が発生したときの原因の振り返りと再発防止

厚生労働省は毎年、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」として、職場の熱中症予防の取組を呼びかけています。令和8年は5月〜9月に実施されました。最新年度の実施要綱は厚生労働省のページで確認してください。 [S4]

よくある質問:事務所だけの会社にも関係がありますか?

対象は、上の基準(WBGT28度以上または気温31度以上で、継続して1時間以上または1日4時間超)に当てはまる作業です。事務所の中の作業でも、空調の効きにくい倉庫・搬入口での作業や外回りの業務があれば対象になりうるため、一度洗い出しておきましょう。 [S2]

参考資料

[S1] 厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について」(資料取得日:2026-10-29)

[S2] 厚生労働省 通達「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(令和7年5月20日 基発0520第6号)(資料取得日:2026-10-29)

[S3] 厚生労働省「職場における熱中症予防情報」(資料取得日:2026-10-29)

[S4] 厚生労働省「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(令和8年)」(資料取得日:2026-10-29)

一般的な情報提供を目的としています。個別の対応は産業医等の専門家にご相談ください。

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本記事は2026-10-29時点で確認した公的資料に基づきます。制度の最新情報は参考資料のリンク先をご確認ください。

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産業医 / 労働衛生コンサルタント(保健衛生) / 健康経営専門医 松田悠司

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