産業医の報酬はどう決まる?|従業員数・訪問頻度・業務範囲の3つで考える契約前のチェックリスト

「産業医の顧問料は、何を基準に決まっているのか分からない」「見積もりを比べたいが、金額以外に何を見ればよいのか」。初めて産業医と契約する事業場では、このような疑問を持つことも多いのではないでしょうか。

産業医の報酬は、法令で金額が決まっているものではなく、事業場ごとの契約で決まります。この記事では、金額の比較ではなく「何によって決まるのか」という仕組みを、法令が求める産業医の業務から整理します。

法律が求める産業医の業務と「訪問」

常時50人以上の労働者を使用する事業場(労働安全衛生法施行令第5条)は産業医を選任し、 [S5]健康診断とその結果に基づく措置、長時間労働者やストレスチェックの高ストレス者への面接指導、作業環境・作業の管理、健康教育・健康相談、衛生教育などを行わせなければなりません。 [S1] [S2]

産業医は、少なくとも毎月1回、作業場等を巡視することとされています(事業者から毎月1回以上、所定の情報の提供を受けている場合で、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2か月に1回)。 [S2]衛生委員会への出席をあわせて行う事業場が多く、訪問の頻度を考えるときは、この巡視の頻度が一つの目安になります。

報酬を左右する3つの要素

要素内容報酬への影響の考え方
1. 従業員数健康診断の有所見者、面接指導の対象者、ストレスチェックの対象者の数が変わる人数が多いほど、1回の訪問で扱う件数と準備・書類の量が増える
2. 訪問頻度と時間毎月か2か月に1回か、1回あたりの訪問時間訪問の回数と時間が、契約の基本部分になることが多い
3. 業務の範囲面接指導、ストレスチェックの実施者、衛生講話、休職・復職面談、意見書の作成などを契約に含めるかどこまでを定額に含め、どこからを別料金(スポット)にするかで総額が変わる

常時1,000人以上(一定の有害業務では500人以上)の事業場は専属の産業医、常時3,000人を超える事業場は2人以上の産業医の選任が必要で、嘱託の産業医とは契約の形が大きく変わります。 [S2]

50人未満の事業場の選択肢

産業医の選任義務がない50人未満の事業場でも、健康診断で異常の所見があった労働者についての医師の意見聴取は事業者の義務です(労働安全衛生法第66条の4)。 [S4]地域産業保健センターでは、健康診断で異常の所見があった労働者についての意見聴取、面接指導、健康相談を無料で利用できます(名古屋(北・東・南西)地域産業保健センターの場合、事業場あたり年度2回まで。労働者本人からの申込は健康相談のみで年度2回まで)。 [S3]それを超える頻度で相談したい場合や、訪問による対応が必要な場合は、スポット契約で産業医に依頼する方法があります。

契約前に確認したいチェックリスト

  • 訪問の頻度と1回あたりの時間
  • 衛生委員会への出席、職場巡視の記録の作成が含まれるか
  • 健康診断結果の確認(就業判定・意見書)の件数の上限
  • 長時間労働者・高ストレス者の面接指導が定額に含まれるか、1件ごとの料金か
  • 休職・復職の面談、主治医への情報提供依頼の作成が含まれるか
  • 訪問日以外の電話・メールでの相談の扱い
  • 交通費、契約期間、解約の予告期間
  • 選任報告の作成を手伝ってもらえるか

見積もりを比べるときは、総額だけでなく、この一覧のどこまでが含まれているかをそろえてから比べると、契約後の「想定外」を減らせます。

当事務所の料金の考え方

当事務所の料金は、顧問料と訪問料で構成し、事業場の規模・業種・訪問頻度・専門対応の有無により個別に算定しています。詳しくは「産業医の料金の考え方」をご覧ください。

よくある質問:訪問を2か月に1回にすれば費用は下がりますか?

職場巡視を2か月に1回にできるのは、事業者から産業医へ毎月1回以上、所定の情報(衛生管理者の巡視結果など)を提供し、事業者の同意を得ている場合に限られます。 [S2]訪問の回数だけでなく、情報提供の仕組みを社内で回せるかもあわせて検討してください。

参考資料

[S1] e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第13条(資料取得日:2026-10-29)

[S2] e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第13条・第14条・第15条(資料取得日:2026-10-29)

[S3] 名古屋市医師会「名古屋(北・東・南西)地域産業保健センター」(資料取得日:2026-10-29)

[S4] e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第66条の4(資料取得日:2026-10-29)

[S5] e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第5条(資料取得日:2026-10-29)

一般的な情報提供を目的としています。個別の対応は産業医等の専門家にご相談ください。

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本記事は2026-10-29時点で確認した公的資料に基づきます。制度の最新情報は参考資料のリンク先をご確認ください。

ご相談・お問い合わせ

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  • 自社に必要な訪問頻度と業務の範囲を整理したい
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産業医 / 労働衛生コンサルタント(保健衛生) / 健康経営専門医 松田悠司

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