産業医を変更・交代するときの手続き|2026年8月から辞任等の報告が義務に、選任報告と引継ぎの進め方

「今の産業医との契約を見直したいが、変更の手続きが分からない」「産業医が辞めることになり、後任が決まるまでの間が心配」。産業医の交代は数年に一度しかないため、担当者が手順を知らないまま進めてしまうことが少なくありません。

2026年8月1日からは、産業医の辞任・解任などがあったときの労働基準監督署への報告も義務になりました。 [S2]この記事では、産業医を変更・交代するときの手続きを、法令と厚生労働省の資料に沿って順番に整理します。

産業医を変更するときの手続きの全体像

  1. 後任の産業医を探し、就任日を決める
  2. 現在の産業医との契約の終了時期を調整する(解約予告期間を確認)
  3. 後任を選任する:産業医を選任すべき事由が発生した日から14日以内 [S1]
  4. 選任報告を提出する:選任後、遅滞なく、電子申請で所轄の労働基準監督署長へ [S1] [S2]
  5. 辞任・解任の場合は、遅滞なく、その旨と理由を衛生委員会(安全衛生委員会)に報告する [S1]
  6. 記録と業務を引き継ぐ

「14日以内」は選任までの期限で、報告は選任後「遅滞なく」です。前任の契約終了日と後任の就任日の間に空白が出ないよう、就任日から逆算して後任探しを始めましょう。

2026年8月から:産業医の辞任等の報告が義務に

労働安全衛生規則の改正により、選任した産業医の辞任・解任・退任(辞任等)があったときは、遅滞なく、電子申請で所轄の労働基準監督署長に報告することになりました。報告する事項には、辞任等をした産業医の氏名と辞任等の年月日が含まれます。 [S1] [S2]

  • 後任の選任と同時に報告する場合は、後任の選任報告をもって辞任等の報告に代えることができます [S1] [S2]
  • 従業員が50人未満になったための辞任等は報告義務の対象外ですが、厚生労働省は報告を求めています [S2]

後任が決まらないまま前任が辞めた場合は、辞任等の報告を先に出し、後任の選任後にあらためて選任報告を出す流れになります。

選任報告は電子申請で

産業医の選任報告は、2025年1月1日から電子申請が原則義務になっています。 [S3]申請方法は、e-Gov電子申請と、厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」の2つです。 [S2] [S4]入力支援サービスからも申請できます。

引継ぎで渡したい記録

産業医が替わっても、会社が保存している記録はそのまま引き継がれます。後任が早く状況をつかめるよう、次の記録を渡せる状態にしておきましょう。

記録保存期間(法令上)引継ぎのポイント
健康診断個人票5年間有所見者と、医師の意見・就業上の措置の記録をセットで
長時間労働者等の面接指導の結果の記録5年間面接後のフォローが必要な人を一覧に
衛生委員会の議事の記録3年間直近1年分の議題と決定事項
職場巡視の記録(労働安全衛生規則第15条に保存期間の定めなし)指摘事項と改善の状況
休職・復職中の社員の状況—本人の同意を得た範囲で共有

保存期間は、労働安全衛生規則第51条(健康診断個人票)、第52条の6(面接指導の結果の記録)、第23条(衛生委員会の議事の記録)によります。 [S1]

名古屋市内の事業場の提出先

名古屋市内の事業場は、所在する区によって名古屋北・名古屋西・名古屋南・名古屋東の各労働基準監督署が所轄になります。区ごとの対応表は「名古屋市の産業医選任・変更」にまとめています。

よくある質問:産業医を解任するときに理由は必要ですか?

産業医が辞任したとき、または産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨と理由を衛生委員会(安全衛生委員会)に報告しなければなりません。また、産業医が勧告や指導・助言をしたことを理由に、解任その他の不利益な取扱いをしないようにしなければならないとされています。 [S1]

よくある質問:後任が見つかるまで産業医がいない期間ができたら?

産業医を選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任することが求められています。 [S1]その間も健康診断後の医師の意見聴取や面接指導の申出は止まらないため、契約終了の数か月前から後任探しを始めることをお勧めします。

参考資料

[S1] e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第13条・第14条・第23条・第51条・第52条の6(資料取得日:2026-10-29)

[S2] 厚生労働省 リーフレット「産業医による労働者の健康管理等を徹底しましょう」(2026年4月)(資料取得日:2026-10-29)

[S3] 厚生労働省「労働安全衛生法関係の届出・申請等の電子申請が原則義務化されます」(資料取得日:2026-10-29)

[S4] 厚生労働省「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」(資料取得日:2026-10-29)

一般的な情報提供を目的としています。個別の対応は産業医等の専門家にご相談ください。

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本記事は2026-10-29時点で確認した公的資料に基づきます。制度の最新情報は参考資料のリンク先をご確認ください。

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例えば、次のような内容についてご相談いただけます。

  • 現在の産業医から変更したい(引継ぎの時期を相談したい)
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産業医 / 労働衛生コンサルタント(保健衛生) / 健康経営専門医 松田悠司

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