年末年始に増える体調不良と職場の対応|長時間労働の面接指導・感染症の休ませ方・年明けの不調

「12月は繁忙期で残業が増えるが、面接指導の対象者をどう拾えばよいか」「インフルエンザにかかった社員を何日休ませればよいか、毎年迷う」。年末年始の前後は、長時間労働・感染症・休み明けの不調が重なり、人事・総務の判断が増える時期です。

2026年はインフルエンザが第34週に流行入りし、2009年に次いで2番目に早い流行入りとされています。 [S8]この記事では、年末年始の前に会社として確認しておきたいことを、法令と厚生労働省の資料に沿って整理します。

年末の長時間労働:月80時間を超えたら面接指導の流れに乗せる

時間外・休日労働が1か月あたり80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者から申出があったときは、事業者は医師による面接指導を行わなければなりません。 [S1] [S2]あわせて、次のことが事業者に求められています。 [S1] [S3]

  • 時間外・休日労働の時間を、毎月1回以上、一定の期日を定めて算定する
  • 80時間を超えた労働者本人に、速やかにその時間を通知する
  • 80時間を超えた労働者の氏名と時間を、速やかに産業医に提供する
  • 申出があったときは、遅滞なく面接指導を行う

研究開発業務に従事する人と高度プロフェッショナル制度の対象者は、100時間を超えた場合に申出がなくても面接指導を行う必要があります。 [S3]

12月の時間外労働は年明けに算定されるため、面接指導は1月にずれ込みがちです。11月分の対象者の面接は年内に終え、12月分は1月の訪問日にまとめて実施できるよう、算定日と面接の日程を先に決めておくと漏れを防げます。面接指導の進め方は「長時間労働が発生したら企業は何をすべきか」で解説しています。

インフルエンザ・新型コロナ:休ませ方は会社が決めておく

感染症法による就業制限の対象は、一類から三類の感染症や新型インフルエンザ等感染症などです。季節性インフルエンザと新型コロナ(2023年5月8日から5類感染症)は対象ではありません。 [S4] [S6]そのため、法律で「何日休ませる」と一律に決まっているわけではなく、会社としての扱いを就業規則等で決めておく必要があります。

学校については、学校保健安全法施行規則が出席停止の期間を定めています(インフルエンザは発症後5日を経過し、かつ解熱後2日を経過するまで、新型コロナは発症後5日を経過し、かつ症状が軽快した後1日を経過するまで)。 [S5]職場でこれを目安にする会社もありますが、使う場合は社内のルールとして明文化しておきましょう。

  • 証明書は求めない:厚生労働省は、職場が治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくなく、提出は不要としています。 [S7]
  • 会社の判断で休ませる場合の賃金:使用者の責に帰すべき事由による休業では、休業手当(平均賃金の100分の60以上)の支払いが必要です。扱いは就業規則等で定めておくことが望ましいとされています。 [S6]
  • 就業禁止の判断:労働安全衛生規則第61条は、病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった人の就業禁止を定め、禁止する前に産業医等の意見を聴くことを求めています(伝染予防の措置をした場合を除く)。 [S1]

流行期の職場の対策は「インフルエンザ・新型コロナ流行期に備える企業対策」もご覧ください。

年明けの不調:「いつもと違う」に気づいたら声をかける

長期休みの後は、生活リズムの乱れや、休み中にためこんだ悩みから、遅刻・欠勤の増加、ミスの増加、表情や口数の変化が見られることがあります。管理職が「いつもと違う」変化に気づいたら、まず本人に声をかけ、必要に応じて産業医面談につなぎます。管理職の対応は「職場のメンタルヘルスを守る!セルフケア×ラインケアの極意」で詳しく解説しています。

社外の相談先として、厚生労働省の「こころの耳」があります。電話相談(0120-565-455、平日17時〜22時・土日10時〜16時)とSNS相談は、年末年始(12月29日〜1月3日)は休止です。メール相談は24時間送信できますが、祝日・年末年始は相談対応を行っていないため、回答は年明けになります。 [S9]休みに入る前に、社内の相談先とあわせて周知しておくと安心です。

年末年始の前に決めておく3つのこと

  1. 長時間労働:11月分の80時間超の対象者への通知と面接指導の日程、12月分の算定日
  2. 感染症:休むときの連絡先、休む期間の目安、賃金の扱い(就業規則等で明文化)
  3. 相談窓口:社内の窓口、産業医の面談の申込方法、休み中に使える社外の窓口

よくある質問:年末年始で産業医が不在のときに面接指導の申出があったら?

申出があったときは遅滞なく面接指導を行うことが求められています。 [S1]休み明けすぐの日程を本人と産業医に連絡し、申出日と対応を記録しておきましょう。体調が悪そうな場合は、面接指導を待たずに医療機関の受診を勧めてください。

よくある質問:熱が下がったら翌日から出勤させてよいですか?

季節性インフルエンザや新型コロナについて、職場の出勤再開の時期を一律に定めた法律の基準はありません。 [S4]会社の目安を就業規則等で決めておき、業務の内容(高齢者や体調の悪い人と接する仕事など)によって迷うときは、産業医に相談してください。

参考資料

[S1] e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第14条の2・第52条の2・第52条の3・第61条(資料取得日:2026-10-29)

[S2] e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第66条の8(資料取得日:2026-10-29)

[S3] 厚生労働省 リーフレット「長時間労働者への医師による面接指導制度について」(資料取得日:2026-10-29)

[S4] e-Gov法令検索「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」第18条(資料取得日:2026-10-29)

[S5] e-Gov法令検索「学校保健安全法施行規則」第19条(資料取得日:2026-10-29)

[S6] 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」(資料取得日:2026-10-29)

[S7] 厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(令和8年9月30日版)(資料取得日:2026-10-29)

[S8] 国立健康危機管理研究機構「IDWR 2026年第35号 注目すべき感染症」(資料取得日:2026-10-29)

[S9] 厚生労働省「こころの耳」相談窓口(資料取得日:2026-10-29)

一般的な情報提供を目的としています。個別の対応は産業医等の専門家にご相談ください。

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本記事は2026-10-29時点で確認した公的資料に基づきます。制度の最新情報は参考資料のリンク先をご確認ください。

ご相談・お問い合わせ

あいち松田産業医事務所は、名古屋市・愛知県内の事業場を訪問しています。年末年始の健康管理について、「まずは現状を相談したい」という段階でも構いません。

例えば、次のような内容についてご相談いただけます。

  • 長時間労働者の面接指導を年末年始の前に済ませたい
  • 感染症で休ませるときの社内ルールを作りたい
  • 休み明けの不調者への対応を産業医に相談したい

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産業医 / 労働衛生コンサルタント(保健衛生) / 健康経営専門医 松田悠司

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